「…もしかして、あったかもしれないこんな光景」と
「深いところで…。」の再録です。
今回行間詰めてみました。
行間詰めて読むとまた違った感じになりますね。
両方並べてみると足らないところとか直したらいいだろうなってところが見えてきます。
それでもこのまんまも好きなので一旦このまんまでアップします。
もう1度、物語をつむぎなおしていきます。
そしてまた先の物語を書くことを目標にひとつひとつ積み上げていこうと思います。
<翔>
いつもの電車に乗り
いつもの時間にいつもの駅に着き
帰途につく。
毎日同じことのくり返し
だけど
夜明けの時間が遅くなってきて
夏が去っていくのを感じる。
少し前までは5時でも相当あたりは明るかった。
なのに今日はまだ夜明けは遠い。
帰り着く頃には太陽も少しは顔をのぞかせているだろうか。
今日は久しぶりに走って帰ろう。
もうあの部屋にあいつは居ないけど
あいつが俺の部屋に居た頃のこと思い出して走ってみよう。
あの頃のことを思い出しながら走れば
今の心の中の漠然とした迷いも吹っ飛ぶかもしれない。
暗闇が徐々に薄れていく中
繰り出す足のピッチを上げ
ただ一直線に走る
最大の難関、陸橋までは。
陸橋にたどり着き走ってきた勢いのまんま登っていく。
久しぶりに走るので思った以上に息があがっているが
またそれも気持ちいい。
抱えていた悩み
お前への思い
何もかも吹っ飛んでいってくれそうだ。
陸橋の階段を上りきったところで
息は最高に上がっていたけど
この自分に鞭打つ感覚が更に気持ちよくって最高で
もっともっとこの感覚を味わいたくなって
向こうの階段にたどり着くまでの一直線も
走り切ってやろうと自分にダッシュをかけた。
薄暗がりのなか人影が見えたんで
その反対側の橋を選んで走り抜ける。
目の端に入るその人物の顔
見覚えのあるその顔。
追って耳に入ってくる聞き覚えのある声。
俺の名前を呼んでる?
階段を
走ってきた勢いのまま降りてしまいそうになるところで踏み止まり
来た方向にまた走る。
懐かしい顔、その声をもっと近くで聞くために。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
<ヒカル>
痛くって辛いのに、どうして最後には抵抗できなくなってしまうのかな…
巻き込まれて自分がなくなってしまうのも嫌なのに
最後いいようになかされて
感じてしまう自分も嫌で
でも心底は嫌じゃなくって…。
時折あの熱い思いと熱い胸と腕に抱かれることを思い出し心が痛む…
なぜなのかその理由を確かめにもう1度ここに来た。
引き返せない
自分の気持ちを
あいつの気持ちを確かめるまでは
そう思い決めて今ここに立っている
あいつがいつも仕事帰りに通る陸橋の上で
引き返さない自分の気持ちに決着がつくまでは…。